テーブルの作成
前回はAccessファイルの作成方法について、紹介しました。
今回は、データの入れ物であるテーブルを作成しましょう。まず、画面左上側にある「作成」タブをクリックし、「テーブルデザイン」アイコンをクリックしてください。すると図1の画面となります。
(この際に表示されるテーブル1は、ファイルの作成時に消したものと同じものです。)
ここで、「フィールド名」と「データ型」を入力します。
フィールド名とは、
どのようなデータを保存するかを示すもので、任意の値を入れることができます。
データ型とは、
保存するデータ型式を示すもので、テキスト型、数値型、日付/時刻型 等があります。
今回作成する購買伝票データベースのイメージを改めて図2に示します。
このイメージに基づき、以下のテーブルを作成します。
① T_購買伝票
② T_購買伝票内訳
③ T_商品マスタ
④ T_取引先マスタ
⑤ T_担当者マスタ
初めて作成される方は、どうしてこれだけのテーブルが必要なの?と思われるかもしれませんが、これは、データの整合性を担保するために作成しています。リレーショナルデータベース、正規化といった少し難しい考え方が必要になりますが、まずは、このまま「?」を残しながらも、読み進めていってください。
最初に「T_購買伝票」テーブル作成として、フィールド名とデータ型に次のように入力します。
フィールド名 | データ型 |
管理番号 | オートナンバー型 |
購買担当者 | 数値型 |
発注先名称 | 数値型 |
発注日 | 日付/時刻型 |
それぞれの情報を登録後、画面最上段左の保存アイコンをクリックしましょう。
名前を付けて保存のダイアログボックスが表示されるため、テーブル名を「T_購買伝票」とし「OK」をクリックしてください。ここで、「主キーが設定されていません。」というダイアログが
表示されます。
主キーとは、テーブルに保存されるデータを一意に識別するためにユニークに割振られた情報に対して設定するものです。
例えば、あるクラスの出席番号はそのクラスの生徒を特定することができるユニークな情報となるため、主キーに設定することができます。一方で、氏名の場合、そのクラスに同姓同名の人がいると一意に識別することができないため、主キーにはなりえません。
今回の場合、「はい」をクリックすると自動的に「オートナンバー型」である管理番号に主キーが
設定されます。ここで、「オートナンバー型」とはデータが追加されると自動で整数番号が割振られるデータ型であり、必ずユニークな情報が保存されます。
主キーが設定されたフィールド名の左側には、主キーを表すカギマークが表示されます。
「管理番号」フィールド名の左側にカギマークが
ついています。
このようにして、残りの 「T_購買伝票内訳」、「 T_商品マスタ」、「T_取引先マスタ」、「T_担当者マスタ」テーブルも作成していきましょう。
以下に、各テーブルのフィールド名とデータ型の組み合わせを示します。
【T_購買伝票内訳 テーブル】
フィールド名 | データ型 |
購買内訳ID | オートナンバー型 |
管理番号 | 数値型 |
購買品目 | 数値型 |
購買数量 | 数値型 |
※購買内訳IDを主キーとする。
【T_商品マスタ テーブル】
フィールド名 | データ型 |
商品ID | オートナンバー型 |
品目 | 短いテキスト型 |
単価 | 通貨型 |
※商品IDを主キーとする。
【T_取引先マスタ テーブル】
フィールド名 | データ型 |
取引先ID | オートナンバー型 |
取引先名称 | 短いテキスト型 |
※取引先IDを主キーとする。
【T_担当者マスタ テーブル】
フィールド名 | データ型 |
担当者ID | オートナンバー型 |
担当者氏名 | 短いテキスト型 |
※担当者IDを主キーとする。
以上のようにテーブルを作成することができましたか?
ここまでが、テーブル作成の基本操作となります。
さて、テーブルはデータの入れ物という話をしてきましたが、実際にデータを入れないと意味がありません。実はテーブルから直接データを入力することができますので、その方法を見ていきましょう。
テーブルへのデータ入力方法
テーブルへのデータ入力方法として「T_購買伝票」を例に見ていきましょう。
図5に示すように、データを入力したいテーブルについて、画面左側に表示されている「T_購買伝票」をダブルクリックしてテーブルを開きます。
次に、画面左上の「表示」アイコンをクリックすると画面が切り替わり「データシートビュー」が表示され、各フィールド(今回の場合は、「購買担当者」、「発注先名称」)にデータを入力できるようになります。なお、「管理番号」フィールドはオートナンバー型のため、自動的に値が入力されます。
データシートビューの状態で再度「表示」アイコン(今度は三角定規のアイコンになっています。)をクリックすると、再度「デザインビュー」となり、フィールド名称やデータ型の設定ができる画面に切り替わります。このようにして、テーブルの設定画面とデータ入力画面を切り替えることができます(図6)。
また、図5では各フィールドに整数値を入力していますが、 「なぜ氏名を入れないの?」と思われた方が多数いらっしゃると思います。
これが、リレーショナルデータベースにより正規化を行うことによるデータの整合性担保を図る仕組みとなります。 リレーション・正規化による整合性担保については、別途説明をしますが、ここではこういうものだと思って読み進めてください。
また、1行ごとのデータの集まりを「レコード」と呼びます。基本的に、Accessデータベースではコード単位でデータを取り扱うことになります。
ExcelとAccessの保存プロセスの違い
ExcelとAccessでデータ入力後の保存状態の違いについても補足をします。
Excelでは、データを入力したのち、「上書き保存」をすることで初めて入力したデータの保存がなされます。
一方で、Accessの場合はデータを入力した段階で自動的に上書き保存されます。
このため、間違ったデータを入力していても瞬時にその値が反映されるため注意が必要です。
この性質のため、Accessではテーブルへ直接データを入力することは避けるべきであり、フォームなどのユーザーインターフェースを介してデータを登録することが推奨されます。
まとめ
今回は、テーブルの作成方法及びテーブルへのデータ直接入力方法を紹介しました。
テーブルの構成をどのように設定するかは慣れると簡単に作ることができるようになりますが、慣れないうちは色々と迷うことがあります。しかしながら、慣れてしまえばデータの処理は飛躍的に向上し、業務効率の改善を図ることができます。
特に、リレーション、正規化の意図を良く理解してデータベース設計をすることが重要となりますので、これを踏まえて次回は、なぜ今回作成したようなテーブル構造としたかを紹介していきます。
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