Microsoft Accessは、リレーショナルデータベースを基本としたデータベースアプリを作成するためのソフトです。
ビジネスアプリケーションの作成に使用できる使いやすいツールであり、規模に応じてカスタマイズすることが可能で、また機能を追加することも容易に行えます。
今回は、Accessでデータベースを作成していく上で避けては通れない各種オブジェクトについて紹介していきます。
Accessのオブジェクト
Accessのオブジェクトは大きく分けて、「テーブル」、「クエリ」、「フォーム」、「レポート」及び「モジュール(マクロ)」となります。
Accessでは、オブジェクトの設定をするための「デザインビュー」が用意されています。
一方、テーブルに保存したデータ、あるいはクエリを用いて条件に合致したデータを閲覧するための「データシートビュー」、作成したフォームやレポートの実装状況を確認するための「フォームビュー」又は「レポートビュー」画面が用意されており、これらを活用して各種オブジェクトを作成することになります。
次から、各種オブジェクトについて見ていきましょう。
テーブルとは
テーブルは、データを保持するための容れ物であり、データベースにとって重要なオブジェクトとなります。Accessデータベースを構築する上で、他のオブジェクトはテーブルの設定条件に大きく依存するため、はじめにテーブルを作成することになります。
まず、テーブルでは保存するデータの項目単位で「フィールド」を作成し、データの性質によって「データ型」を決めて各フィールドに設定をします。テーブルに保持された1件1様のデータを「レコード」と言います。
例えば、顧客情報を保持するテーブルを作成した場合に以下のような設定をします。
表1 テーブル名: T_顧客情報テーブル
フィールド名 | データ型 |
ID | オートナンバー |
姓 | 短いテキスト |
名 | 短いテキスト |
年齢 | 数値型 |
住所 | メモ型 |
表2 「T_顧客情報テーブル」に保存されるレコードの例
ID | 姓 | 名 | 年齢 | 住所 |
1 | 鈴木 | 太郎 | 29 | 東京都品川区●● |
2 | 佐藤 | 花子 | 32 | 神奈川県横浜市●● |
3 | 山下 | 次郎 | 15 | 愛知県名古屋市●● |
データベースを作る上で、各フィールドに条件に応じたデータ型を設定することは、適切なデータ保存をしていくために必要不可欠です。
クエリとは
クエリは、Access データベースのデータを簡単に表示、追加、削除又は変更する際に用います。例えば、ある条件をフィルター処理して特定のデータをすばやく検索したり、データを計算又は集計したり、定期的に最新のデータを確認する等のデータ管理タスクを自動化したりすることができます。
このため、クエリは、様々なテーブルから情報を取得し、情報を表示するための機能を持ち合わせており、クエリの作成においては、どのテーブルから情報を取得するか、どのような条件の情報を取得するか、あるいは演算処理をどのように行うかといった設定をすることになります。
フォームとは
フォームは、Accessデータベースにおけるインターフェイスの役割を持つオブジェクトです。先に紹介したテーブルやクエリを用いたデータの操作は、データベースの構造を十分に理解している人が行う分には問題ありませんが、データベースに不慣れな人が用いることは困難であり、場合によってはデータを消失させてしまう可能性もあります。
そこで、フォームを通じてデータを入力、編集又は表示することで、データベースに不慣れな人もAccessデータベース内のデータを扱うことができるようになります。
このようなユーザー目線でのフォームを用意すると、このユーザーにとってデータベースが使いやすくなり、さらに、フォームにコマンドボタンやその他の機能を追加して、頻繁に実行する操作を自動化することもできます。
効果的なフォームは、ユーザーが必要なデータを探す必要がなくなり、データベースを操作する時間が短縮され、また、データベース作業の負担を和らげてヒューマンエラーを防ぐことにも役立ちます。
レポートとは
レポートは、Accessデータベース内の情報の表示をするために用います。例えば、連絡網データベースの内、電話番号のみを記載した単純なレポートを作成したり、連絡網の内、特定の地域に住む人の情報のみをレポートとして作成したりすることができます。
データベースの場合、一度テーブルにデータを登録しておけば、クエリやレポートを活用することで、必要データの出力を自動化することも可能です。
モジュール(マクロ)とは
モジュール(マクロ)は、Accessの操作を自動化するために使用します。
マクロの場合、「マクロビルダー」を用いてAccessに元々用意されている「アクション」と呼ばれる処理を組み合わせることで、操作を容易に自動化することができます。
次に、モジュールの場合は、VBA(Visual Basic for Applications)というプログラミング言語を記述して操作を自動化するときに使用します。モジュールは、マクロに比べて複雑な処理ができる一方、プログラミングの知識が必要になるため、保守性の観点から属人的になりやすい一面もあります。
図5と図6の実装例は、どちらも同じ処理をする内容としていますが、マクロかモジュールかの違いでその後の汎用性、保守性といった観点でそれぞれの長所、短所がありますので、使い分けが必要になります。
まとめ
今回は、Accessでデータベースを作成していく上で知っておかなければならない各種オブジェクトについて紹介しました。ExcelやWord等と異なり、直感的にファイルを作成することが難しい反面、Accessのオブジェクト構成を良く理解し、アプリケーションを構築することは、業務効率の改善の大幅な第一歩になりますので、まずは今回紹介した各オブジェクトについて理解を深めていただければと思います。
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